呉越興亡 その6  <越の范蠡(はんれい)>

 <こうなれば、恥をしのんで、和を乞うほかはないでしょう。わが国の国宝をすべて呉王に献じ、我が君みずから呉王にお仕えなさいませ>。范蠡(はんれい)が越王勾践(こうせん)に答えた。 <それで夫差はわしを許すだろうか?><伍子胥(ごししょ)がそばにいて、許してはならぬと進言いたすことでございましょう><では、わしの命はないではないか?>

 <呉の重臣は伍子胥(ごししょ)一人ではございません。宰相の白嚭(はくひ)も、かなりの実権をもっております。そして、この男、財物には弱いということです><買収せよということか?><さようでございます><伍子胥(ごししょ)の言葉の強さに、白嚭(はくひ)の後押しだけで勝てるだろうか?>

 <まだほかに手を打ってございます><どのような手か?> 「小説十八史略」

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