呉越興亡 その11  <属鏤(しょくる)の剣>

 宰相の白嚭(はくひ)は夫差に<伍子胥(ごししょ)は自分の謀略が用いられなかったことを根に持って怨んでおります>と讒言(ざんげん)をいたしましたので、「夫差乃ち伍子胥(ごししょ)に属鏤(しょくる)の剣を賜う」。ということは、これで自決せよということであります。

 越を破って父の讎(あだ)を報じたのちの夫差は偸安(とうあん)に馴れて、その頃には人を見る眼がなくなっておったと見える。暗君ぶりを発揮いたしまして、大事な謀臣の伍子胥(ごししょ)に自殺を望んだわけであります。

 この時に使った剣が<属鏤(しょくる)>。シナで名剣というと先ず<属鏤(しょくる)>という。 この<属鏤(しょくる)>を賜った。 殺すにしてもさすがに礼を以てしたわけであります。「十八誌略・安岡正篤」

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