呉越興亡 その16 文種(ぶんしょう)の死
越王勾践(こうせん)のもとには、軍略の才の范蠡(はんれい)、内政の才の文種(ぶんしょう)がいた。二人の間には信頼関係があった。
范蠡(はんれい)は、 越王勾践(こうせん)を、苦労はともにできても、成功の美酒はともに飲めないと見抜き、越をさるにあたって、友人の文種(ぶんしょう)に手紙を送った。<子よ、何故、越を去らぬ>と。
范蠡(はんれい)のように身一つで軽捷に行動できない性格が、文種(ぶんしょう)の不幸を招いた。主人が国外脱出を計画していると、下僕の密告を聞いた越王勾践(こうせん)は、文種(ぶんしょう)に鋭利な剣を与えた。 「范蠡(はんれい)・立石優」
