呉越興亡 その18 范蠡(はんれい)の決断 その3
斉では美しい模様の織物を産する。絹布や魚貝類、塩なども豊富で安い。これを中原諸国に運べば、高く売れるのだ。干し鮑は珍味としてもてはやされ、岩塩しか産しない奥地では、雪のように白くて味の良い海塩は貴重品なのである。
その売上金で、今度はこれらの地方から、陶器類や銅製品、珍しい果物などを買い入れてきて、山東地域で売る。また、越呉地方の米を仕入れて、船で斉へ運んでくれば、米の穫れない北国では、驚くほど高く売れる。こうして鴟夷子皮(しいしひ)范蠡(はんれい)は、短期間のうちに、巨万の富を築いていった。 「范蠡(はんれい)・立石優」
