第二節 <三皇(1)・太昊伏羲(たいこうふくぎ)> その一
太昊伏羲氏は、風が姓であり、燧人(すいじん)氏に代わって王となった。蛇の(ような)下半身と人間(と同様)の顔だちをしていた。 はじめて八卦①を画し、(また)文字を創造し、(それまでの)縄目を結ぶ(記録の)仕方を変えた。 結婚制度をつくり(一対の獣皮である)麗皮(れいひ)を(結納用の)礼物とした。 綱を編み(鳥や魚の)捕り方を教えた。 生けにえ(に共すべき牛、羊、豚といった家畜)を養育させ、庖厨(ほうちゅう)で調理させた。 ゆえに庖犠(ほうぎ氏)ともいうのである。 竜が出現するという瑞祥(ずいしょう)があったので、竜の字を官名につけて、竜師と称した。 木徳の王であった。 陳に都を定めた。 『十八史略 (現代語訳と解説) 竹内弘行』
① 八卦・・・「卦」は「け」とも読むが「か」が正しい。八卦は陰と陽の組み合わせによってできた易(えき)の八種のシンボルで、乾(けん)・兌(だ)・離(り)・震(しん)・巽(そん)・坎(かん)・艮(ごん)・坤(こん)、をいう。 易は、これをさらに積み重ねた六十四種の卦を用いて占う。
