酒杯談義 7

 祖千秋の話が続く。

 「この紹興酒は古い磁器の杯でないといけない。 北宋の磁器が最もよく、南宋のでも何とか使えるが、すでに見劣りがする。元の磁器ともなると、もはや俗気を免れない。 

 梨花酒はどうか?翡翠の杯を使うべきだ。 白楽天が杭州で詠った春望という詩に『紅袖綾(こうしゅあや)を織り柿葉(しよう)を誇り、青旗(せいき)酒を沽(ひさ)ぎ梨花を趁(ひきた)つ』とある。 なあ、杭州の酒屋が梨花酒を売る。そこに掛けてあるのは滴(したた)るような緑の旗、それが梨花酒に映えてことさらに粋に見せるのだ。 梨花酒を呑むには、翡翠の杯に限るね。

 玉露酒なら、瑠璃杯だ。 玉露酒の中には珠(たま)のような細かい泡があるが、透明の瑠璃の杯に入れて呑まねば、その良さは分からんよ」。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

前の記事

酒杯談義 6

次の記事

理論学習の必要性