翁草の淡い色の次に、突然可愛らしい青い花が飛び込んできた。　青い小花＜ゲンティアナ・ヴェルナ（リンドウ科）＞はアルプス三大名花の一つ。

　スイスの翁草。　日本で子供の頃見ていた翁草の色は魅力的で大好きな花だった。現在日本では絶滅の危機にひんしているという。

　モンテローザを背にし、マッターホルンに向かうようにハイキングを開始する。　高山植物に出会う楽しみに、目線は地面にいく。

　３，１３０メートルの高さで、４，６３４メートルのモンテローザと　　　４，５２７メートルのリスカムの間の氷河を見る。　感動！　ふと足もとを見ると名も知らぬ花が咲いていた。

　アルプスでハイキングという旅行のうたい文句には、恐れと好奇心が入り混じっていた。危険ではないかしら？　３１００ｍまで登山鉄道で上る後にハイキングが待っている。

　子供の頃、＜悪いことをすればばちがあたるよ。人が見てなくても、神様が見てるからね＞って言われた。　町の背後に姿をあらわすマッターホルンに畏敬を感じた。

エーデルワイス　エーデルワイス　ほほえむ花よ悲しい心 なぐさめる花　はるかアルプスの峯　雪のようにエーデルワイス　エーデルワイス　かがやけここに

　４，０００㍍級の山々が集中するアルペンリゾート＜ツェルマット＞。このエリアでは車の乗り入れが禁止されているので電車利用。町は必要に応じて走る電気自動車だけ。自然が主人公。

　バスの窓側席はすばらしい風景を見られる反面、恐ろしい場面にも出くわす。２，１６５メートルの峠からガードレールの無い道を一気に下る時は、身が縮んだ。

　名峰マッターホルンへ行く為に、バスは2,165㍍の峠を越える。残雪もある最高地点でバスを降り、絶壁から遠くまで一望している時に見つけた野性のエーデルワイス。「高貴な白」といわれる花が咲く前だった。　薄雪草（ウスユキソウ […]