クリスチーヌさん

〈ここから一時間くらいのパークを案内します〉。と、クリスチーヌさんは言っているよう。どうもお弟子さんたちはあまり、よろしくおねがいしますとは言わない。ありがとうございます、とよく言うので、私もありがとうございます!と、出かける前に言った。

女性の運転と言うより、男性が運転している感じ。雰囲気がどっしりとしていて空気が震えない。ロータリーに‘星の王子様’のモニュメントを見つけた私だけど、カメラは間に合わなかった。空気を震わせないクリスチーヌさんは、この様子を記憶していたよう。

山あいに入って行く。このような風景は好きと言うと、山の斜面を指差し〈ここはシャドン。数少ない貴重なワインの畑〉と教えてくれた。公園入口に車を停めて、いきなり売店へ行く。クリスチーヌさんは、サンドイッチを二つ買おうとするので、〈私はお腹空いてない。けどワインを飲みたい〉と言うとすぐ注文。濃いピンクの発泡酒を持って来た。〈これがシャドン!〉。これ知っている! イチゴのような香り、柔らかな泡! 暑い夏の昼下りにピッタリ!  プロバンスのロゼワインより、優しい気がした😀。私がワインを飲み終える前に、クリスチーヌさんは食事を終えていた。

食べ終えて飲み終えて、山林に入って行く。重い鉄扉を開けた先は、鍾乳洞だった。細い空洞はだんだん広くなり、どんどん深く下って行く。外は34度。ここは何度? 寒い! クリスチーヌさんがバッグから、幅が広く長いシルクのスカーフをとりだし、私にプレゼントすると言う。貸すのではなくプレゼント? 入場料、昼食代も出させない。おまけにプレゼント? 

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