消えた

昨夜、お通夜に行ってきた。今朝、食事のテーブルに小さな虫が突然目前に現れた。<虫ー!>。よく見ると小さなカマキリの赤ちゃん。<もしかしたら、彼女が来たかもしれない>。そーっとつまんで外に放した。

亡くなる二週間前に電話をした。つながらなかった。二日後に電話を頂いたときに私は出れなかった。それっきり。話せていたかもしれないと思うと悔やむ。亡くなったと思えない。でも私の前から消えてしまった。

電話の第一声は必ず、<アッ、センセイー!>。途中の道で出会っても、<アッ、センセイー!>。20年以上変わらなかった。毎週の練習後は食事をしながら話をしていた。いろんな思い出を残して消えてしまった。

5年前に彼女に会ったフランスのドクターが、<彼女の病気は良くない、処置するように早く伝えて>と、私に告げた。本人も誰も全然気が付かなかった。その後、重い病気と知り病院へ行った時は、3か月の命と言われたけれど手術しないで自力で回復し戻ってきた。いろんなことを知っていて心強かった。<生死を体験した貴女だもん、話にもっと深みが出るね、嬉しいなー>と言ったのに消えた。逝ってしまったことをいつ実感するんだろう。

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