夢が叶ったチェコ行き

大学のゼミの教授は勉強以外にいろんなことを教えてくれた。その中でも一番強烈な教え。「物事をたくさん知っているようでも、知らないことは山ほどある。そして自分を知っているようでも知らない方が多い。勉強はそのためだね」。プロテスタント、いつも持っている塚本虎二訳の『福音書』はまーるい本の形になっていた。年老いてからドイツ大学に二年間留学、『小使徒』の筆者で、エッセイは愛情ある心のこもった内容ばかりだった。

ビール大好き、歌が好き、ゼミが終わると虎ノ門にあったドイツレストランで楽しんだ。年に一度か二度、チェコで開かれる学術会議に出席し、一緒にどうかとお誘いを受けたこともある。チェコからはいつも自筆の絵葉書を送ってくれていた。プラハのお城、モルダウ川にかかる橋、地方の景色など。お土産はボヘミアンガラスの器。<一度は行っても良いところだよ、ビールも美味しい!><ハイ、いつかきっと行きます!>。

ハイ! やっとチェコへ行ってきたのです。先生が教えてくれたビールを味わおうと、ビアホールに出かけて飲みました。モルダウ川にかかるカレル橋はたくさんの銅像が両側にあり、もっとも有名なプロテスタントの宗教学者のヤンの像は残念ながら修復中。スメタナが作曲したモルダウの流れは水量も多く茶色でした。<たくさん鉄を含んでいるので、貧血の人が飲むと良いですよ>と、ガイドさん。

プラハの街の建物は歴史を感じさせ、茶色の屋根は黄葉に映えていた。ウインドウに並ぶ綺麗なカットのボヘミアンガラス。最も古いと言われる時計の仕掛けは一時間ごとに動き、逆に時は止まっているような街。今回行けなかったスメタナの音楽劇場、ミュシャの美術館。チェコだけ5日間というフリータイムのツアーがあったらまた行きたい。プラハの町は小さく、見どころは歩きの観光になる。一日で二万歩歩いたという人がいた。先生が話していたようにチェコは本当に良かった。

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