セレモニーホール
”平安閣”の互助会員として積み立てしていたという妹。母の葬儀はそこで行われた。
<”平安閣”って、結婚式場じゃなかった?><そう昔は結婚式場、今は葬儀場なの><昔は結婚式を挙げる世代が多かったけれど、その世代は今、お葬式に使っている><時代に合わせた転換なのね>。
昔、結婚式場だった建物はそのまま残っていて、玄関から広いロビー、正面に螺旋階段、中階にはグランドピアが置かれ、2階に喫茶室や各部屋などがあって広い。建て増しされた建物にはホテルのような宿泊用の部屋、リビングルーム、キッチンと至れり尽くせり。葬礼の期間中、ずーっと居られる。
告別式が始まる前はピアノの生演奏があり、無料の飲み物やソファに座って待つ。菩提寺のお寺さんの読経が始まる。白いリムジンカーが火葬場へ連れて行く。近代的な火葬場では50分もしないうちにお骨が出来た。悲しみと驚きと、まあイイッか。母はハイカラが好きだったから、<リムジンカーに乗って天国に来たよ>って、喜んでいたかもしれない。