75歳でドイツ留学

 いつも叱ってくれた先生は、奥様が亡くなられて4年後ドイツの大学に留学した。72歳の時だった。 送別会は虎ノ門で以前の特許庁の隣のビルにあった地下のドイツ風レストランで行われた。そのレストランにはゼミが終わるとよく連れて行って頂いた。 名前の知らない強い酒と、ゆでた大きな骨付き豚肉をセットにし、アコーデイオンに合わせて声を張りあげていた。帰る時はお店のチョコレートを必ず買ってくれて食べながら別れたレストランだった。

 三年後の75歳の誕生日もドイツで迎え、その後帰国し 「75歳ドイツで聖書を学ぶ」を出版し、翌年は勲三等瑞宝賞を受賞した。 東京工業大学の名誉教授であり、無教会雑誌<信仰無用>「小使徒」を毎月一回、二十八年間発行し続けられた。 外反母趾の人に、お年寄りの人にと、アシックスから発売された「ペダラ」は先生の思い入れのデザインである。

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